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「は?どこに?ホテルに行った写真でもあるの?あるわけないよね?はったりもいいとこだよ」
あくまで関係ないと言い張る圭吾さん。
あんなにいい人だと思っていたのに…
ゆずと本当に仲が良いと思っていたのに…
どこまでが本当の圭吾さんなのかわからない。
でも、今は事実を明らかにすることが大切なんだ。
視線を東雲さんに移すと彼女は未だ事態を飲み込めないようで呆然と立ち尽くしていた。
「東雲さん…携帯持っていますよね?」
「は、はい」
はっ と我に返った東雲さんはゴソゴソとカバンの中から携帯を取り出した。
「あの…携帯がどうしたんですか?」
怪訝そうに私の様子を伺う東雲さんの手に握られた携帯。圭吾さんは私が何をしようとしているのかおそらくもうわかっている。
さっきまであんなに威勢がよかったのに、今では顔をこわばらせ、青ざめている。
「権藤先生に電話をかけてみてください」
「権藤先生に…ですか?」
電話帳から権藤慎太郎と書かれた携帯電話の番号を選び、通話ボタンが押された。
ブーッブーッブーッ
しばらくして鳴り響いたバイブ音。
圭吾さんのポケットが小刻みに揺れていた。
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