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   圭吾さんは顔を背けた。 「俺、調べたんだよ。お前の実家が融資受けてるところが堀田と繋がりがあるところだって…。実家のためなんだろ?本当は」 何も言い返さない圭吾さん。それが暗に肯定の意味を示していた。 病院を経営することは容易なことではない。今では大きな病院でさえ、赤字を抱えている時代。個人病院となれば余計だろう。 「私たちを頼りなさい。あなたも知ってると思うけど堀田は汚い男よ」 細川先生はヒールを鳴らしながら圭吾さんへ近づいた。 「あの男がただでお金を工面すると思う?」 「それはどういう意味ですか!?」 「そのままよ。あなたが一番良く知ってるんじゃない?」 見る見るうちに圭吾さんの顔は焦燥感で埋め尽くされていく。思い当たる節があるみたいだった。 「私を誰だと思っているのよ。私たちに協力してくれれば、あなたも、あなたの実家もちゃんと助けてあげる」 「…協力?」 「ええ。あなたが知ってる堀田の情報を全て私たちに教えて欲しいの」 「………」 「堀田に着いてこのまま医療人としても人としても地に堕ちるか、私たちと組んでまっとうな道を歩むか…賢いあなたならどちらを選ぶべきかわかるわよね?」 圭吾さんの胸ぐらを掴んでいたゆずの手が緩んだ。 「引き返すなら今だ。俺は圭吾に堀田のような腐った医者になって欲しくない」 「ゆず…俺は……俺は…」 消え入るように声を絞り出した圭吾さんはその場で崩れ落ちた。 実家をどうにかしなくてはいけないと思う圭吾さんの強い気持ちが堀田と出会って間違った方向へ進んでいってしまったんだろう。圭吾さんの目から溢れる涙を信じたい。きっと私だけじゃない。この部屋にいる全ての人が思っていると思う。   
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