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「今日も忙しくなりそうですね」
「そうだねー。これからまた増えそうだし」
カルテを眺めながら鴨井ちゃんと前回値のチェックをする。
私の職業は臨床検査技師。
聞きなれない職種だと思うけど
簡単に言うと病院で検査を行う人間のこと。
例えば
血液検査とか
細菌検査とか
心電図とか。
レントゲンとか放射線を使う検査に関しては
放射線技師っていう別の職種の人がいて、
少し違う。
その中で私は生理検査部門といって心電図や脳波、エコーをする部屋に所属していて、主にエコー検査を担っている。
総合病院なんだけど、
特に循環器科が有名なこの病院。
そのため、心エコー検査の件数が半端ない。
技師の人数は決して少ないわけじゃないけど
需要と供給がマッチしていない状況が続いている。
技師歴6年目の私。
まだまだ発展途上だけど
それなりに経験は積んできたつもりだ。
「春川さん、鴨井さんおはようございます」
「おはよー」
眠い目を擦りながら検査室にやってきたのは
横山慎二(よこやましんじ)くん。
私が直接指導しているカワイイ後輩くんだ。
本来なら主任が新人を指導するといったところだが
なぜか横山くんは私が任されることになってしまった。
若い子は怖い、
それが理由らしい。
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