二.図書館は資料提供の自由を有する

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1か月半に及ぶ訓練が終わり、図書基地に向かう途中で事件は起こった こころ「郁ちゃん、何かあった?」 笠原「ん?何にもないよ!」 ここ最近明らかに様子がおかしい。特に堂上教官とギクシャクしてるように見える 玄田「で、タスクフォースの訓練はどうだった?新人!」 手塚「大変、勉強になりました」 さすが手塚っち。優等生の回答 そんな中郁ちゃんが勢い良く手を上げた。 笠原「あの!図書防衛って基本市街戦じゃないですか?どうして野営訓練まで?」 玄田「気分だな!」 そう言った瞬間、車内は笑いに包まれた。 進藤「あらゆる想定に備えてとか、他に言い方あるじゃないですか!」 玄田「あぁそうだなぁ!」 …玄田隊長に聞くのは、間違いだった。まともな答えが返ってくるはずがない。タスクフォースはもっとお堅いイメージがあったが、そういう訳でもなさそうなのは、この集中訓練でわかった そんな時だった こころ「検閲...」 私は信号待ちしている車両から、大きな本屋が検閲にあっているのを見つけた。 進藤「ありゃあ派手にやってるなぁ」 手塚「品揃えが良くてマークされたんでしょうか」 進藤「いや、市民からの通報って場合もあるぞ」 あんなに大きい書店なら狙われるのも当然 笠原「止めなくていいんですか」 こころ「は?」 笠原「見計らいの権限があるじゃないですか」 郁ちゃんの言葉に玄田隊長が答えた 玄田「あれはただの図書の買い上げ制度だ。かち合ったんならともかく、検閲を妨害する真似はできん。図書隊の権限は図書館を守るためのもの、考えもせずに乱用してみろ。そんなことしたら交戦規定が崩壊しかねない。」 玄田隊長の言葉に隊員がはいっと返事をした 図書隊は正義の味方じゃない その言葉は図書隊に入ってから聞かされたし、自分の中でも納得したつもりだった 郁ちゃんはただ検閲されている書店を見つめていた 青信号に変わり車両が動き出した途端、郁ちゃんは思いがけない行動に出た こころ「郁ちゃん?!」 郁ちゃんが車両から飛び出して走っていったのだ。目的はただ1つ 私も郁ちゃんを追いかけて車両から飛び出した 郁ちゃんが書店に入った時、私はまったく追い付けてなかった。インターハイに出るほどの実力を持った郁ちゃんに追い付ける訳がない 私はやっとの思いで、書店にたどり着いた
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