二.図書館は資料提供の自由を有する

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笠原「関東図書隊です!図書館法第三十条に基づく資料収集権を以て、それらの本を見計らい図書とすることを宣言します!」 少し遅かった 慌てて後ろから郁ちゃんの口を手で封じた こころ「馬鹿、見計らいの権限は図書正以上しか使えないの!」 笠原「ええっ?」 座学を聞いてない郁ちゃんが知るはずもなかった。最悪の場合、連行される こころ「何故、この本が駄目なんですか」 良化隊「著者の経歴に問題がある。良化法反対集会の常連だ」 こころ「それだけで検閲だなんてどういう基準してるんですか」 時間稼ぎの為、良化隊員に反抗したが図書士の私にも検閲を阻止する権限はない。それでも本を手放したくない気持ちは郁ちゃんと一緒だった 良化隊「公務執行妨害で連行する。連れてけ」 良化隊員と揉み合いになり、バランスが崩れて後ろへ突き飛ばされた。その直後、力強い腕に抱き止められた。思わず後ろを見ると、小牧教官。助かった、そう思った瞬間力が抜けた 堂上「遅れたが、関東図書隊二等図書正だ。それらの図書を見計らい図書として収集することを宣言する!」 小牧教官と作業している時、早速罵声は飛んだ 堂上「アホか貴様!見計らい権限はお前のようなぺーぺーが使えるもんじゃない!!」 笠原「あの人も同じことをしました」 堂上「馬鹿が馬鹿の真似すんな馬鹿!」 笠原「あの人は馬鹿じゃありません!」 堂上「ただの無鉄砲な馬鹿だ!」 笠原「あの人こそ真の図書隊員です!」 堂上「うるさい!」 笠原「あたしの王子さまを馬鹿にしないで!」 驚いた、まさかここで王子様が出てくるなんて。やばい、うける 堂上「お、王子様?」 笠原「あー損した!堂上教官のこと少しでも王子様とか思ったりして、ほんと損した!」 その瞬間小牧教官と私は耐えられなくて、盛大に吹き出した。 こころ「wwww」 小牧「あーもう超面白い!wあ、笠原さんと絵本、届けてあげて?」 こころ「え?」 小牧「今市さんも一緒に守った本じゃん」 そう言って頭をゆるゆると撫でて、小牧教官は堂上教官の元へ向かった 笠原「じゃん」 郁ちゃんが絵本を出すと、男の子は嬉しそうにした 男の子「ありがとう」 こころ「大切にしてね」 男の子「うん!」 図書隊は本だけじゃない、本を求めている人の気持ちも守ってる 何年も前に聞いたその言葉を思い出した
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