おまけ

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「あっ」 「えっ?」 何かに気付いた結城は後ろを振り返り、スーツケースを持っていない手を差し出してきた。 んっ?何だ? 私が首を傾げていると、結城は私の手を取り歩き出した。 「手、繋ぐの忘れてた。はぐれそうだもんな。お前」 「なっ…!人を迷子扱いして…!」 「いや、実際お前迷子になってたじゃん」 「……むぅ」 悔しいけど正論だ。 いつもならここでもうちょっと言い返したいけれど、繋がれた手に思いの外喜んでいる自分がいて、自然に女っぽい自分になってしまう。 まぁ、ちょっとくらい甘えてもいいかなって思っちゃってる。 黙った私に機嫌をよくした結城はその後もずっと繋いでいてくれて、駅前の駐車場まで迷う事なく向かうと、そこには初めて見る結城の車が停まってあった。
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