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離れた唇は少しの感触と寂しさを残して離れる。
でも、手はいつまでも繋がれている。
少しでも触れられている事が嬉しくて堪らない。
きっと、恋を放棄していた私がこう思えるのは、この先にも絶対にこの人だけだ。
「よし、じゃー行くか。初めての家具選び」
「うんっ!」
「どうせならダブル買おうぜ。シングル2つは狭いからな」
「………」
「今、何妄想したんだよ。スケベ」
「し、してないわよ!あんたじゃあるまいし!!」
「あー、そうだな。俺はいつでもどこでも妄想してるかも」
「……へ、変態!どすけべ!馬鹿!」
「それだけ俺の中はお前で占められてんだよ。
もう、絶対離さねーから。
どこにも行くなよ?」
繋がれた手に言葉の代わりに力を込めた。
ずっとこの手は離さないからって。
あなたのそばに、ずっといるよって想いを込めて。
キュッと手を握り続けた……
end
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