第2話

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「本当の年齢より上に見られない? 中身がさ」 「……それは解らないな」  私はただ苦笑する。  すると、さやかさんは長い髪の毛を掻き上げながら笑った。彼女はとても仕草が綺麗な人だと思う。それに、笑い方とかが。  あまり大声を上げてふざける感じの人ではないし、仕事ぶりも真面目だ。女の子の友だちも多い。  そのままずっと彼女の様子を見つめていたら、さやかさんは居心地悪そうに笑った。 「何?」 「いや」  そして、落ちる沈黙。  よく解らないが、その後、お互い隣り合って座っていたけれども、あまり会話は弾まなかった。多分、私が口べたなせいだろうとも思う。彼女は気を使って私に声をかけてくれていたのだから。  やがて、そんな私の右側に松下がやってきて、酔った彼は上機嫌に色々と話しかけてきた。私はそんな彼と色々バカな話を交わしながら、男性とばかり話しやすいというのも問題だな、と思った。  飲み会がお開きになるという時間。  皆で駅に向かって歩きながら、それぞれ自分の家に向かうべく電車に乗ったりタクシーを拾ったりする光景が見られる。  私は電車通勤だったから、当たり前のようにいつものホームに向かうだけだったのだが、やはり女性陣の帰り道というのは心配になる。他の男性陣も、それぞれ女性陣の帰りを心配して、送る人間も出てきた。  そして、それぞれ帰宅する方向が同じ男性が、その女性を送ることになった。  私は松下と一緒にさやかさんともう一人、別の女性を送ることになったのだ。 「蓮川さんって、彼女いないんだよね」  その別の女性がわずかにアルコールで頬を赤く染めながら言う。私は彼女に頷いて見せると、どこか意味深にさやかさんのほうを見やる。さやかさんは少し慌てたようで、その彼女を軽く睨みつけてから首を振る。それを見た松下が何を思ったのか、突然こう言った。 「俺、彼女を送っていくから」  そう言って、彼はこの場に私とさやかさんを残したまま、その女性の腕を取って別のホームへと足を向けた。彼女の家はそっちの路線だっただろうか、と奇妙に思いながらも、やがて私はさやかさんにこう言った。 「送るよ」 「……ありがとう」  さやかさんの頬が、まだ少し赤い。
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