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本当に生きているのだろうか?
もしかしたら死んでいるのに気づかないだけで、実はここは死後の世界で……などと考えたような気もする。
疲れている。
そう、死にそうなほど。
なのに、目が覚めたのはなぜだ。
急激な寒気。
突然戻ってきた、全身を襲う痛み。何だ、これは。
しかし、身体は相変わらず動かない。意識が朦朧とする。気持ち悪い。
何だ、これは。
恐怖と不安。そんなものが混じり合っているというのに、何もできずにいる。
そして。
音が聞こえた。
何だ、と思う。
必死に目だけを動かした。暗闇の中、確かに浮かび上がったのは病室の光景だった。私の腕につながっている点滴のチューブ、よく解らない機械がベッドの脇に置かれている。
誰もいない病室。
また必死に目を動かすと、わずかに窓らしいものが見えた。
星すら見えない夜空がカーテンの向こうにあるようだ、と思った瞬間。
そのカーテンが揺れた。
理由など解らない。
圧倒的なまでの恐怖感が私の中に生まれる。
何だ、これは。
何だ、あれは。
何がいるんだ。
カーテンの向こう側。そこには窓があるはずだった。ああ、確かに窓はあった。窓枠がカーテンの隙間から見えて、そしてその窓が開けられているらしいと気づく。
窓が開いているからカーテンが揺れているだけだ、と思う。そう願う。
しかし。
その窓枠に、誰かの手がかけられているのが見えた。
そう、外から。
声など上げられない。身動きも取れない。
本能的な恐怖が、早くこの場から逃げ出せと叫んでいる。
しかし動けない。
その黒い手がゆっくりと動く。そして、気がつけば限りなく闇の色に近い影が目の前にあった。
悲鳴も上げられず、ただ見つめ続けるしかできない。私は怯えながらそれを見上げ、心臓を震わせて『その時』を待った。
死の瞬間を。
その影は、人間には見えなかった。
女性のように長い髪の毛はばさばさと広がっていて、わずかに風に揺れている。肌はまるでひからびているかのようで、細い腕は骨と皮だけと言っても差し支えなかった。
その前髪から覗いた双眸だけが紅く輝いていて、ああそうか、と気づく。
彼も、吸血鬼だ、と。そうだ、女性ではない、彼は男性だ。
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