大人の味

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優希にとってその香りは大人の象徴的なもので、ヒロ兄ちゃんは“大人”になったのかと急に実感が湧きその部屋で深呼吸をしたら扉が開き部屋の主が現れた。 「お前……また勝手に人の部屋入って」 「おばさんがヒロ兄ちゃんコンビニ行ってるだけだからって入れてくれたんだし」 宏海はため息をつくように言ったが優希は悪びれる様子もなく答えた。 「で、今日は何?勉強?」 だがこれくらいのことはいつもの事なので特に気にする様子は無く要件を尋ねた。 「当たり前だし。これ見てわかんないの?むしろもうそれ以外の理由で来ないし」 優希は当然のように言い放ち、部屋の中心にある小さなテーブルに持っていた勉強道具を乱暴に落とし、腰を下ろした。
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