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それからはふざけた様子は無くなり真剣に勉強を見てもらい一段落着いたとき。
宏海は優希と少し離れようと地べたのテーブルから部屋の窓際にある自分の勉強机の前にある回転式椅子に座り、机の中からタバコを取り出し火をつけ白い息を吐いた。
「中学生がいる前で断りもなくタバコ吸うんだー」
「ここは俺の部屋だ。嫌ならリビングに行って母さんの相手でもすればいいだろ」
「別に、嫌じゃないけど」
優希の両親も喫煙者の為タバコの匂いも煙も慣れ親しんだもの。今更副流煙がどうだとか騒ぐつもりもなかった。
人さし指と中指でタバコを持っている少し骨ばった手。そしてタバコを加えている口元吐き出される煙。
少し伏し目がちの表情は優希の知っている普段の宏海の顔でなくて大人の男を思わせて思わず見とれていた。
その視線に気が付き、「……何?」と言った宏海に「タバコを吸うと、どんな感じ?」と少しでも慌てて誤魔化すように質問をした。
「どんな感じ?そりゃ……なくちゃならないものだぜ」
偉そうに答えた宏海だが実はまだタバコが欲しくて仕方ないと言う程ではない。
今はここ吸う場面だろって雰囲気で吸ってるだけで、恐らくこれを続けたら先程の発言に見合うようになるのだろうと思っていた。
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