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「……死期早めるだけなのにバッカみたい」
「毒だとわかってても欲しくなる媚薬のようなものなんだから。お前だって太ると思っても甘いお菓子食うだろ?それと変わんねぇよ」
優希にバカと言われムキになり、喫煙している友人が前に言っていたセリフを自分の言葉のように言った。
吸っていたタバコを灰皿に押し付け椅子から降りて先程までいた優希の隣にまた座る。
「……もう勉強終わったんだけど」
宏海になんでわざわざ隣に座ったのかと言うようにトゲのある言い方をする優希。
「相変わらず俺のこと嫌いなのな」
――嫌いじゃない。むしろ逆だ。
もともと大人びた性格をしていていた優希に同級生には子供に見えたし、いくら馬鹿にしようと宏海は年上の男性。
中学生の優希からすれば頼りになる存在で、それは身近なお兄ちゃんからいつしか恋心と変わってもおかしくはなかった。
現に今。優希の胸はいつもより早い鼓動を刻んでいる。それを宏海には悟られたくはなかった故にこういう態度をとってしまう。
会う回数が昔ほど減ったのは年齢を重ねただけではなかった。気持ちに気がついてしまえば、意識してしまう。だからこそ、今日みたいに用事がないと会う事ができなくなってしまった。
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