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「怪我がたいしたことなくてよかった。 ……って、浩二。なんでお前がここにいるんだよ」 健吾と呼ばれた人は、呆れたような顔でミヤサカに目を向ける。 「なんでって……」 ミヤサカはどう話せばいいかわからないといった様子で、言葉に詰まっていた。 その隣で急に現れた『健吾』を見ているうちに、瑞希は彼がだれなのかなんとなくわかった。 美月はミヤサカの兄嫁だし、この空気だと『健吾』はミヤサカの兄なのだろう。 健吾はふいに瑞希に目を向けた。 それは部外者を見つけ、気になったというだけの視線だったけれど、彼は瑞希と目を合わせた瞬間、「え」と大きく目を開いた。 「……浩二、この人はだれだよ」
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