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遠慮の欠片もない問いに、瑞希は苦笑した。 前にミヤサカが『兄』について話していたのを思い出す。 (……たしかに『俺サマ、健吾サマ』よね) そのあだ名がぴったりだと妙に納得していると、ミヤサカは困ったような顔で瑞希を見た。 「彼女は芹澤瑞希さん。 さっきの事故に巻き込まれたひとりで、俺の彼女」 「えっ」 「えっ、そうなの?」 健吾と美月は同時に驚いた声をあげ、瑞希を注視する。 美月はきらきらした目で瑞希を見つめ、一方の健吾は大きく開いた目を次第に細めた。 (なに……) 美月はいいとして、健吾の視線が気になる。 探るような目つきに、弟の彼女を品定めしているのだろうかと、瑞希は戸惑った。 「浩二、お前……」 視線は瑞希に向けたままで、健吾がなにか言おうとした時、ミヤサカが先に口を開いた。
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