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「じゃ、またね浩二くん。それと……瑞希さん」
美月の屈託のない笑顔に、瑞希は知らず知らずのうちに見惚れた。
彼女と同じ顔でも、自分にはあんな表情ができない。
おかげで頭を下げるのが遅れてしまったけど、去っていくふたりはとても自然で、それでいて違和感がなかった。
あの自然さは長年傍にいるからなのだろう。
しばらくそちらを見ていたけれど、瑞希はふとミヤサカが気になり、隣を見上げた。
その瞬間、思わず息を止めてしまう。
何気なく見た彼の横顔は、今まで何度か見たことのある切ない表情で、瑞希の胸が苦しくなった。
(なんで……)
なんでその顔をしてるの。
気付きたくないなにかに気付いてしまいそうで、瑞希は思わず彼のシャツを引っ張った。
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