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瑞希を家に送るタクシーの中で、美月が彼女の遠い親戚だと知った。
見つけたのは婚活サイトだし、親戚だなんて思いもよらなかったけれど、他人の空似ではなかったのだと、心中は複雑だった。
瑞希との関係を進めるということは、いずれ美月や健吾と顔を合わせる日がくるということ。
その時どうするかは、ずっと考えたまま結論が出ていなかったのに、心づもりがないまま急にふたりに会って、浩二は内心焦った。
「はぁ……」
瑞希を降ろし、ひとりになったタクシーの中でため息が漏れる。
彼女のアパートの前で別れたのは、部屋まで送ると申し出たけれど、やんわりと断られたからだ。
さっきまで繋いでいた左手を見やる。
瑞希が手を繋ぎたかったのは意外だった。
だけど事故にあって心細いことくらいわかるし、彼女さえよければ一晩中傍にいたのに。
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