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それから適当に歩いて、目についた和食の店に入った。
親子丼を美味しそうに食べていた美月は、ふとなにかを思い出したように、がばっと顔をあげた。
「そうだ浩二くん!
浩二くんの彼女さんのことなんだけど」
浩二の鼓動がわずかに跳ねた。
ちょうど和定食を食べ終えたところで、浩二は箸を置いて前を見やる。
美月は無邪気に笑って言った。
「彼女さんがすごく私に似てるから、ほんとにびっくりしたよ」
「……あぁ、そうだな」
「あとさ、私を「みっちゃん」って呼ぶのにも、すごくびっくりした。
そのあだ名は子供の頃しか言われてないんだけど、昔の知り合いかなぁ」
だんだんと美月の顔を見ていられなくなって、浩二はお茶を取るふりをして目を逸らした。
「……俺もあのあと知ったけど、彼女は美月の遠い親戚らしいよ」
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