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頷いた後、彼の瞳にゆっくりと輝きが宿る。
瑞希はそれを見つめながら、また嬉しくなった。
「……っていうか……。
宮坂さん、痛いです」
この場の空気が気恥ずかしくて、どうしていいかわからず嘘をつく。
わずかに眉間を寄せれば、ミヤサカは「ごめん」と慌てて身を引いた。
今まで温かかった場所に、窓からの夜風があたる。
少しひんやりとした風が、熱っぽい体を落ち着かせてくれた。
彼は瑞希を気遣わしげに見ていたけれど、やがて「ありがとう」と微笑んだ。
安堵した屈託のない笑みに、つられて笑う。
彼の後ろは病室の白い天井。
包帯を巻いた瑞希はベッドの上。
理想のプロポーズから遠くかけ離れているけど、瑞希は穏やかで満ち足りた心地だった。
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