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それから少しして、医師が様子を見に来た。
右腕の傷の消毒のため、しばらく通院しなければいけないそうだけど、気分が悪くないなら帰宅してもいいとのことだった。
受付に寄るよう指示され、ふたりは病室を出る。
受付前の待合いは、診察時間外でもそれなりに人がいた。
「ここで待ってて、話してくるよ」
ミヤサカは並んだベンチを指さして言った。
けれど瑞希は「自分で行きます」と、彼が持ってくれていた鞄とファイルを受け取る。
彼に座って待っているように促し、清算を済ませていると、後ろで声がした。
「あれ、浩二くん……?」
その声に振り返ると、ミヤサカの前でだれかが立ち止まっている。
隙間から覗く彼はひどく驚いた顔をしていて、無意識に瑞希の鼓動が跳ねた。
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