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「芹澤さん?」 受付でいぶかし気に声をかけられ、慌てて前を向き直る。 診察券を受け取って視線を移した時、ミヤサカが細い声で「美月」と言った。 (え……) 声の響きから、瑞希は一瞬自分が呼ばれたのかと思った。 けれど、彼は目の前の彼女を見上げたまま動かない。 (なに……) 瑞希の心臓は痛いくらい騒ぎ始める。 恐るおそるふたりの傍に近付けば、ミヤサカがはっとした顔で立ち上がった。 その視線を追って、彼女もこちらを振り向く。 (あ………) 彼女と目を合わせた瞬間、瑞希は思わず呟いた。 「……みっちゃん……?」 そこにいる彼女は、瑞希そっくりの目を丸くした。 「え? あなた……?」
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