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その場のだれもが顔を見合わせたまま、しばし声を発することが出来なかった。 瑞希は遠くのざわめきを聞きながら、祖父の法事のことを思い出す。 何度も間違えられた『みっちゃん』は、『美月』という名で、自分そっくりだという。 目の前の彼女がそうなんだと、瑞希は彼女を見た瞬間に確信した。 「どうして、その呼び名を……」 「瑞希さん、美月を知ってるの?」 美月とミヤサカが同時に声を揃え、どちらも口を噤んだ。 遠慮がちな間が流れ、それを破ったのは美月の問いだった。 「浩二くん……。 この方は、浩二くんの知り合いなの?」 ミヤサカはなんとも言えない顔をして、深く息をついた。
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