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相沢が迎えに来ると言うから俺は律儀にタクシーに乗り込み、大通りまで出るのに走ったら暑くてネクタイを握りしめたまま、自社ビルの6階にある俺の執務室に滑り込んだわけだが…。
「ふふ、…そういうことにしておきたいならこういうのはもっと目立たないとこにしてもらいなさいね?」
俺の首筋を指でトントンと軽く叩くと、片平さんは悪戯っぽく笑った。
「う、え!?…あの、これはっ…」
俺は慌てて首を押さえるが、顔に集まる熱を散らすのは至難の技で、誤魔化すことも出来なくなる。
「いいのよ。最近梶くん色気出てきたし、そういう人居ないわけないの分かってたし。…ただもうちょっと、立場はわきまえないと駄目ねぇ」
色気云々は分からないが、立場的に遅刻がマズイのはよく分かるので彼女の苦言も真摯に受け止める。
「すみません。今日のスケジュールの確認お願いできますか?」
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