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声の合間にぐうっと大きな音を立てたお腹に苦笑いするしかなくて、俺は頭を掻いた。
「ふふ、ホントまだまだだったわね。お茶菓子があるから持ってくるわ。時間も少しならあるから…コーヒー、淹れるわね」
楽しそうに笑うと、片平さんは給湯室へと向かうために部屋を出た。
一人になって、小さく息をつく。
「くそ、相沢のやつ…」
朝飯は食いっぱぐれるは、遅刻はするわ、片平さんに相沢が付けた印を指摘されるわで、朝から散々だ。
文句もひとつじゃ足りないくらいだ。
けれど今はそれどころじゃないので、握りしめたままだったネクタイを持ち直してしゅるりと首にかける。
ボタンを一番上まできっちりと留めて、ネクタイを締める。
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