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「はい、お願いします」
忙しなく動く彼女の後ろ姿を見送って、俺は自分の椅子に腰をおろした。
NISからの依頼はイベントの企画進行の手伝いと、会場の設営だった。
俺はコーヒーを口元に運びながら、これから使う会議の資料にもう一度目を通した。
一応、幾つかのプランを用意して提案できるようにはしてある。
本来なら、こういうのはもう俺の仕事ではないのだが、先方から何故か名指しで指名されたため、企画課から引き継いだのだ。
タイミングが悪く電話の度にすれ違い、先方の担当と直接会うのも話すのも今日がはじめてになる。
だから俺が知っているのは、佐野さんという名前と女性だということだけだ。
「それにしてもなんで俺なんだろ?」
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