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「分かった、今から向かいます」
通話を切ると俺は階段へと足を向けた。
第三会議室は一階下の4階にある。
普段あまり使うことはないが、エレベーターを待つよりこちらの方が早いと判断してのことだった。
誰もいない階段も、降り立った4階のフロアもひっそりとしていて、コツコツと硬質な靴音が響く。
会議室の前まで来て、もう一度ネクタイを直す。
軽くノックしてから俺はゆっくりと扉を開けた。
「片平さん、もうすぐ上がって来られるますので」
俺の声に振り返った彼女は、さっきとは打って変わってきりりと答えた。
「はい、分かりました。もう準備は出来てますのでエレベーターの前までお迎えに行ってきます」
「お願いします」
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