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片平さんの背中を見送って、俺はブラインドの隙間から窓の外を見た。
どんよりと濁った曇り空が広がっている。
朝見たときはそんなことなかったのに。
「傘、持ってきてねぇな」
いつ雨が降りだしてもおかしくはない空に、一人ごちる。
相沢が迎えに来ると言っていたから、駐車場までの距離くらい傘がなくてもどうということはないのだが。
ブラインドを元に戻すと、丁度ドアをノックする音が響いた。
短く返事をすると、片平さんを先頭に佐野さんと思われる女性に続いて、もう一人が「失礼します」と控えめな挨拶と会釈で一緒に入ってきた。
「本日はお時間作って頂いてありがとうございます」
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