sideR

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丁寧な言葉にちらも軽く会釈を返す。 「いいえ、こちらこそご足労頂い、て…」 言いかけた言葉は、佐野さんの斜め後ろに立つ男の顔を見て宙に浮いたまま止まってしまった。 男を凝視する俺と目が合うと、彼は片頬を持ち上げ不敵な笑みを浮かべた。 「お久しぶりです、梶センパイ」 その声にも、その顔にも見覚えがあった。 同時にどうして俺を名指しだったのかも分かってしまった。 「あら、お知り合い?」 「はい、大学が同じでした」 片平さんの声に、にこやかな表情で答える男に戸惑いを隠せない俺は、席を勧めることも忘れて小さくその名を呼んだ。 「なつめ…」
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