736人が本棚に入れています
本棚に追加
/403ページ
陵介の気配の消えた家は、やたらと広く感じて困る。
掻き消したくて、浴室に入るとシャワーを勢いよく頭から被った。
何も身に付けていなかった上半身は自分で思う以上に冷えていたようで、いつもと同じ温度のはずなのに、熱く感じた。
泡立てたスポンジで軽く体を洗って、シャワーを止める。
「…淋しがってる場合じゃないよね」
悠里が居なくなったときもそうだったが、俺はひとりでいるのが苦手らしい。
音の消えた浴室が、それだけでもう淋しいなんてホントどうかしている。
陵介は今が一番大事な時だ。出来れば邪魔はしたくない。
今日はいつもより長く一緒にいられたし、肌も触れあった。
けれど。
「…分かってるんだけどな」
それだけじゃ足りなくて、抑えていた欲が頭をもたげる。
最初のコメントを投稿しよう!