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「今日は何があったの?」
彼女が口を開く前に俺の方から尋ねると、大きなおなかを抱えて大変だろうに、わざわざ靴を揃えた沙耶ちゃんは、感心したように俺を見上げた。
「…さすが警察の人ね~。まだなんにも言ってないのに」
「警察なんて関係ないよ。聞いてって顔に書いてある」
立ち上がる彼女を手伝って、俺は苦く笑った。
ことあるごとにそれは言われることだが、ちょっと見ていれば、誰にもで分かることだ。
「そうかな~?…頭の回転早いし、いろんなこと気がつくし。ゆーごくんとは全然違うわ」
沙耶ちゃんは慣れた足取りでリビングに入っていき、ソファに腰を降ろすなりそう言った。
俺は丁度かちりとスイッチの切れたケトルを手に取り、お茶の支度を始める。
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