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知っているからこそ、周囲の人たちがそれで傷ついたりするのを見るのは嫌だった。
俺も未だに、全ての気持ちを陵介に言えるわけではないから、偉そうに言える立場ではないのだが。
彼女の為に置いてあるパックのハーブティーをチョイスしてティーポットにお湯を注ぐ。
いい匂いが漂ってきたところで、2つ並べたカップに淹れて、沙耶ちゃんの前に置いた。
「…すごい些細なことなの。分かってるの、ゆーごくんが悪いわけじゃないことも。でも気づいてほしくて」
俺の言葉にしゅんとした彼女は、俺が渡したお茶を持ち上げて、手のひらでカップを包み込んだ。
俺はソファの向かい側にテーブルを挟んで座ると自分用に淹れたハーブティーを一口飲んだ。
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