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「…うん、分かるよ。言わなくても分かってほしいって思うよね。…でもさ、やっぱり……伝えるって大事だよ」
自分の言葉が、チクリと胸を刺す。
最近俺は、陵介と過ごす時間のあまりの少なさに不満を持っている。
今朝、少々強引に肌を触れあわせたのもそんな気持ちの表れだった。
けれど、そんな女々しい不満を口にして陵介の邪魔をしたくない。
堂々巡りの思考を遮るように、沙耶ちゃんが口を開いた。
「そうなのよね。…私が我慢すれば済むのかと思ってたけど、今日帰ったら言ってみるわ。…ありがとう。それと早く来ちゃってごめんなさい。…出直したほうがいい?」
今更ながらに謝る彼女に、苦笑いが溢れた。
「や、大丈夫だよ。そこで寛いでてくれていいから」
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