sideT

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陵介が経営の勉強を始めた頃に、俺も料理を作ろうと決意して、冗談のつもりで口にした料理教室に本当に一年通った。 今では、結構いろいろ作れるようになったから持て余す時間に夕飯を作るのが俺の最近の日課になっていた。 「ありがと、じゃあそうさせてもらうね。とーるくんの料理美味しいから楽しみ」 沙耶ちゃんは大きくなったお腹を愛おしそう撫でて、ソファの背に深く体を沈めた。 「そうかなぁ?俺は今でも陵介のカレーが一番好きだけど」 誉めてくれるのは嬉しいが、レシピ通りに作ればそこそこ食べられるものを作れるのは俺だけじゃないように思う。 それに、俺のなかでは陵介が一番最初にご馳走してくれたカレー以上のものはなくて、どんなにいい食材を使ったとしてもあのカレーを越えるものは作れない。
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