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口は悪いが、陵介は優しい。
世話焼きが性分で、頼まれたら断らない。
それはよく知ってる。でも…。
「誰にでもそうなのはちょっと妬けるなぁ」
陵介が見せる優しさは、俺や沙耶ちゃんだけにではない。
俺に向けるものと、他人に向けるものとでは種類は違うのかもしれないが、受けた側からすれば同じ親切だ。
俺と暮らしはじめてからのバレンタインは凄かった。
モテると言っていただけあって、チョコの数も相当あった。
「誰でもってわけじゃないみたいだけど…あぁ、でも。大学のとき、あの世話焼きを勘違いしちゃった子、居たわ」
沙耶ちゃんは俺の焼きもちに苦笑して、途中で思い出したことを口にした。
そうだろう、あれだけモテる人が自分によくしてくれたら勘違いのひとつもする。
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