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当の本人は、その辺の自覚がないからまた厄介だ。
俺だって最初は戸惑った。
「それで、そのあと陵介はどうしたの?」
沙耶ちゃんに話の続きを促す。
「その子があんまりぐいぐい来るから結構困ってたみたいよ?…りょうちゃん、あんまりそういうの言わなかったから詳しくは知らないけど…」
顎に手を当てて、沙耶ちゃんは当時の記憶を手繰り寄せるように宙を見た。
「たいてい聞き手だからね~。相当困ってないと言わないよね、陵ちゃんは」
俺が相づちを打つと、沙耶ちゃんは何かを思い出したように可笑しそうにクスクスと笑った。
「そうそう。それでね、その子が一回家に来ちゃったことあってね。なんて名前だったかな。…えぇっと、なお…あ、そうだ、なつめくん!」
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