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本当は仕事がかなり残っていたけど、今日はもう帰ろうと、定時にあがって相沢を駅裏のカフェで待つ。
駅ビルのカフェでもよかったのだが、今日は気分的に人混みに行きたくなかった。
その点この店は、常連客がちらほらいる程度で静かだったから、俺は珈琲を一口飲んでほっと息を吐いた。
朝一番の仕事で、まさか棗(ナツメ)に会うとは思わなかった。
「はぁ……」
本日何度目かのため息が溢れ落ちる。
打ち合わせ自体は順調に進んだ。
だが、俺が佐野さんに提案する様を、じっと見る棗の視線がまとわりついてくるようでやりにくいったらなかった。
どうやら棗が佐野さんの指導役で、彼女を補佐するために同行しているらしかった。
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