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「今のは……っ」
違うと言いかけて、相沢の指が眉間に伸びてきて咄嗟に目を瞑る。
「痛くなっちゃうよ?」
うっすらと目を開けると指先でするりと眉間を撫でて、相沢は何事もなかったかのように珈琲カップに手を戻した。
確かに機嫌はよくなかった。けれど、そこまでしかめっ面をしていたのだろうか。
最後眉間にシワを寄せたのは確実に相沢のせいだが、不機嫌丸出しの顔で会うつもりはなかったのに。
「…そんなにひどい顔してたか?」
「うん?…何かあったかなとは思ったけど?思ってたより時間も早かったしね」
棗のことは出来ればあんまり言いたくない。けれど、職業柄なのか観察眼の鋭い(単に俺が顔に出しすぎていただけかもしれないが)相沢に隠し事は出来ないみたいだ。
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