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「早い…そう、だな」
よほど言ってしまおうか思ったが、口をついて出たのは相沢の語尾を拾った単語で。
「定時上がりでしょ?…俺は嬉しいけどね…りょうちゃん、これちょっと貰っていい?」
相沢はきっと、俺が言おうとして止めたことにも気づいているだろう。
けれど、何も聞かずにクリームのたっぷり乗ったパンケーキに手を伸ばした。
「あぁ、食えよ」
返事をしながら、相沢の優しさに胸がふわふわと暖かくなるのを感じた。
「ありがと。丁度小腹がすく時間だよね」
柔らかく笑む相沢にどきりとする。
さっきまで憂鬱で仕方がなかったのに、なんでもない相沢の一挙一動に癒されてる自分がいて。
「俺ってめちゃくちゃ単純だな」
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