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☆☆☆
「今日は陵介の好きなハンバーグを作るよ~」
帰りの車の中。
緊張感の欠片もない相沢の声が響く。
丁度、メールの受信を知らせたスマホがスーツの内ポケットで震えて手に取ったのとその声は同時で。
「…また沙耶香来てたのか」
相手は姉の沙耶香で、今日の昼間に来訪したことの事後報告だった。
「あ、そう言えばりょうちゃんに言ってなかったね。お昼を一緒に食べたんだよ」
別に許可などいらないし、仲がいいのは俺にとっては嬉しいことなのでいいのだが。
ただ…結構頻繁なのがちょっと…妬ける、だけで。
けれど、そんなことを口にだすのも悟られるのも嫌なので、声に出しては別のことを言ってみる。
「……お前、昼も作って夜もまたって、大変だろ?今日は俺が作るよ」
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