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運転席の相沢は俺の申し出に小さく笑って、俺の頭を緩く撫でた。
「大丈夫だよ。陵介、疲れてるでしょ?そのために料理も覚えたんだから」
精神的な疲れはあるが、時間は早いので体はそこまで疲労している感じもない。
それに最近は相沢に任せっぱなしだ。
「だって…と、わり」
お前に作って貰ってばっかじゃ悪いだろと言おうとして口を開いたところに、電話が鳴った。
着信を知らせたのは仕事用に持っているもう一台で、登録のない番号だったが出ないわけにもいかず俺はすばやくケータイを耳に当てた。
「はい、梶です」
『梶センパイ。俺です、分かりますか?』
固い声のまま名乗ると、今日はもう聞きたくなかった声が陽気に答えた。
俺は頭を抱えたくなったが、そっと息を吐いて出来るだけ穏やかに言った。
「…どうかしたのか」
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