sideR

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『明日は、駄目ですか?』 陽気だった声が、電話の向こうで真剣味を帯びて鼓膜を揺らした。 一転した声音に、つい本音が漏れた。 「…なんで…今」 そうだ、何故今頃になってまた俺にコンタクトを取ってきたんだ。 棗とは大学を卒業してから一度も会わなかった。 ケータイを変えてから番号を教えなかったこともあって、棗から連絡が来ることもなかった。 その気になれば共通の友人を辿って連絡先を知ることもできたはずなのに。 それなのに。 何故、今なのだろう。 『ずっと…会いたかったんです。でも、どうしていいか…分からなくて』 勢いをなくして語尾の小さくなった棗の声で目の前に居なくても項垂れているのだろうと、容易に想像することができた。 「…………俺もだよ」
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