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そんなの…俺も同じだ。
どうしても、思い出してしまう。
だから、もう会うつもりもなかったし、会うこともないと思っていた。
まさか、こんな形で再会することになるなんて思いもしなかった。
棗の方は、俺を指名した時点で意図的にそうなるように仕向けたのだろうから、ある程度の心構えはあったのだと思うけれど。
俺は、全くもって不意打ちだった。
『じゃあ、明日。空けておいてくださいね』
深く考え込んでいきそうな思考を、元の調子に戻った棗の声が遮った。
「え?……や、行くとは言ってねぇっ…棗っ」
『また連絡します』
強引に取り付けられた約束に、反応が遅れてしまって慌てて声を返すが、俺の抗議はあっさりスルーされて、通話は一方的に切れた。
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