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俺自身、はっきり言って棗は苦手だ。
けれどこの口振りからして、相沢も勘違いしていそうだから、この際全部話してしまおう。
俺は深呼吸して、目を伏せた。
「……ナツメのことは話すから、家でいいだろ?」
飲みに行ったら車だって困るだろう。
それに。
「……なにその意味深な感じ」
納得してない相沢の声は変わらず低いままだ。
さすがにちょっといらっと来た。
只でさえ、棗のせいで気持ちが落ちているというのに。
「俺はっ…お前と二人になりたいって言ってんの!…なんか文句あんのか」
「ふっ…ごめん、ちょっと妬いた。文句なんて…あるわけないでしょ」
俺の言葉に相沢は笑って、自宅のある方角にウインカーを出した。
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