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「…りょうちゃん、俺と二人になりたいの?」
交差点に差し掛かる手前、信号が赤に変わって相沢の手が腿に伸びてきた。
するりと辿るようになぞった指先に、背筋が微かに震える。
「っ……っせぇな!今日はっ…そういう気分なんだよ」
相沢の手に、手のひらを重ねる。
その手を取って、指を絡めるとすこし冷たい相沢の指先に俺の体温が伝っていく。
驚いたようにこちらを見た相沢の口許が緩くほころんだ。
絡めた手がぎゅっと握り返される。
すこし強めの、その力が妙に心地いい。
青に変わった信号を見て、相沢は手を繋いだまま車をゆっくりと発進させた。
「じゃあナツメにも、ちょっとだけ感謝かな」
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