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左手に握りしめた陵介の指先に口づける。
「本当に、それだけ?」
意地の悪い質問だと分かっていて、もう一度聞いた。
「…んなわけねぇだろっ。だからやめろって言ってんだッ」
既に赤くなっていた顔を更に赤くして、陵介は俺を睨みつけて俺の左手を振り払った。
「もうさ、どうしてそんなに可愛いのかな」
やめろと言う方が無理がある。
そう思ってるのは、きっと俺だけなんだろうけど。
「はぁぁ?今のでどうして可愛いなんて単語が出てくんだ?」
「知りたい?」
「…知りたくない」
案の定な反応に俺は苦く笑って、振り払われた手を今度は頬に添えた。
「そうだよね。俺も教えるつもりないし」
顔を寄せていきながら、批判の声を上げそうな唇を先に塞ぐ。
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