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けれど、陵介がこんなことを言うのを聞いたのは初めてだった。 「……ごめん、俺が先に話聞けば良かった」 迎えに行ってすぐに。 様子がおかしいことには気がついていたんだ。 いつもと違う店。 いつもと違う時間。 無理やり聞くこともできたけど、敢えてそれをしなかったのは、間違っていたかもしれない。 「謝るな。お前のせいにしたけど……俺が…ホントは」 そういうのも全部分かってて、肌を合わせた。 煽られて我慢できなかったのももちろんあるけど、そうするのが一番いいように思えたから。 「そんなの、いくらでも俺のせいにすればいい。だから俺にも、分けて?」 いいところだけじゃなくて。 嫌なことも痛かったことも全部。 「……出来れば、俺も忘れてたかったんだ」
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