736人が本棚に入れています
本棚に追加
☆☆☆
あの時、あの場所で。
その後ろ姿を見つけなければ、俺はまだ誰かを愛する気持ちなんてものも、何かに真剣に打ち込もうとすることも、知らないままだったかもしれない。
だからそれは必然的な出会いだったように思う反面、悪いことをしたと思う人もいたと。
今になって思う。
「俺、大学3年の時さ、彼女が居たんだ」
好きだと言われて、特に断る理由もなく付き合った。
若かった俺は、それでいいとその時は思っていて。
深く考えることもしなかった。
「りょうちゃんモテると思うから、居ても全然不思議じゃないよ」
あの後。
軽くシャワーで流して二人して洗いたてのスウェットに袖を通した。
幾分気持ちも落ち着いたところで、相沢が作ってくれた炒飯を食べた。
最初のコメントを投稿しよう!