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「…だったら、俺と彼女が別れてフリーになったらお前にはその方がいいんじゃねぇの?」
どうして、俺に文句を言いに来たんだ。
確かに俺に対応は誠意にかけていたかも知れない。
けれど、どう考えても棗にとっては都合に良いことだとしか思えない。
「それじゃ意味がないんですよ」
「…?…どういう、」
意味だと問おうとした声は、テーブルに置いていたスマホの着信音に遮られた。
表示は姉の沙耶香だった。
彼女は結構頻繁に俺に電話をしてくる。話の内容は下らないものが殆んどだったが、今はありがたかった。
棗の真意は分からないままだが、こいつから離れるきっかけにはなった。
「ここだと聞こえにくいから、俺行くわ」
俺はスマホを肩に挟んで、手早く昼食のごみを片付けて席を立った。
「また明日ね、センパイ」
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