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それでも、泣いているんだとすぐに分かった。
好きになれたら、どんなに良かっただろう。
「…いいよって、言ってあげられないよ…」
涙色の声で、美咲ちゃんは言った。
いいんだ、俺を許さなくて。
酔いに任せてとどめを差すような男なんだ。
…許せなくて、当然だと思う。
「傷つけて…ごめん」
俺は、ごめんと繰り返すしか出来なくて。
先に帰ると言い出した美咲ちゃんは、棗が呼んだタクシーで帰路についた。
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