ひとつ。

13/15
前へ
/23ページ
次へ
「ん!んー!」 え、待って待ってこれファーストキスううううううう 「んぅ・・・ぁ・・・は」 しかも深いいいいいいいいいいい そして長いいいいいいいいいいい 「ん、ぐ。」 そろそろ息辛いよ? 彩菜さん窒息死しちゃうよ? 「んん・・・っぷは!」 「すみません、大丈夫でしたか?」 「はぁっ・・・おーるおっけ・・・はぁっ」 なんで貴方そんなテカテカしてんのさ。 確かに息切れやばいけど、うん。こう、体の奥底から湧き上がる力を感じます・・・ぬぉ!? 「なん・・ ・あああぁぁああぁあっ!?」 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い ーーout side どこまでも白い空間に響く、痛々しい声。 それと共に、変化が訪れた。 ゆっくりと色素が抜けていくかのように頭頂部から金色へと染まっていく髪。それと同時にぐんぐんと伸び、遂には身の丈を超えた。 元々合ったはずの耳は埋もれ、頭の天辺から大きな金色の獣の耳が生えてきた。 少女の腰のあたりがもぞりと蠢き、スカートの下から髪や耳と同じ金色の尾が生えてくる。その数、9本。 ゆらりと揺れる尾。 ぴくりと動いた大きな耳。 彼女の叫び声はゆっくりと収まっていき、最後には荒い息を漏らすだけになった。 「・・・嗚呼、いなり様。まるであの頃、そのままのお姿よ。」 後ろからじっと少女の体の変化を見ていた天使は、悲しげに眉を寄せ誰にも聞こえないほどの声でぽつりとつぶやいた。 彼が指をパチリと鳴らすと彼女の乱れた衣服が元通りになる。変化を終え息を整えていた彼女は、ゆっくりと顔を上げた。 「っはあー・・・っもー。」 一息ついた彼女の目は金色に輝き、まるで猫の目のように瞳孔が縦に開いていた。 最後にまた大きく息をつくと、ゆっくりとその身の緊張を解いた。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加