ひとつ。

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高校3年生ってなんだかんだ面倒だと思う。 コミュ障が原因とは言わないけど友達も少なくてヘタレな私にとっては、特にときめくこともなく適当に過ごしていた毎日。 最後の1年くらい楽しめたらいいなとか、ニコニコと可愛らしい校長の長めのお話に耳を傾けつつ、この物語の主人公こと『鈴木 彩菜(すずき あやな)』はうつらうつらと舟を漕ぎ始めていた。 広い体育館。 1学年6クラスで、1クラスは40人前後。5人ずつ8列ほどで座っており、前方から3年2年1年と各学年の間に少しスペースを開けている。 座っている周りには教師達が。 その意識を落としていく生徒達をつつきながら歩いていたり、たっていたり。 彩(・・・クソネミ。つかわざわざ金曜日に半日始業式に出席するためだけにくるとかほんと萎える) 少々オタクかぶれな私です。 かくりと首を落としてはハッと意識を取り戻すことを繰り返してはため息をつく。去年座っていた場所よりも距離が近くなり、壇上で話す校長に向ける首の角度が厳しくなってきたと悩んでいた。 彩(・・・これは神からの寝ろとのご掲示か・・・ハッ!) とかなんとか。馬鹿なことを考えた私は左からこちらを凝視するハゲの先生と目が合ってしまった。 彩(・・・ぐっ・・・) ほら、ヘタレだからさ。変に真面目なのよ。 まだまだ終わりそうにない、ニコニコ顔の校長に首を痛めつつ目を向ける。 時計の針は、真下をさす手前でした。
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