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その行動と、その指先に全員が注目する。
「ーーー鈴木さんッッ」
ぐらりと視界がゆれ、急激な浮遊感を感知した時。
私の体は宙に浮いていた。
誰かが私の名を叫んだ。
でもこれは、多分無理。
目を見開いたままのクラスメイト達を視界に収めた瞬間。その場に光がほとばしり、すべてが巻き戻されたかのように元に戻っていく。
崩れ落ちた校長も。
吹き飛ばされた生徒達も。
まるで何も無かったかのように。
ただ。
1人の存在だけは消えたまま。
その場所にいた記憶も、証も。
その子に関するその全てが、消えてしまった。
「ーーーお迎えに上がりました」
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